映像ノウハウ

色温度とホワイトバランスを画像で説明します

僕が業界に入り、最初に混乱したのがこの色温度ホワイトバランス でした

ホワイトバランスはその場に適した色合いに調整する事なんですが

これを理解するには「色温度」という、

これまで聞いた事のなかったキーワードを理解するのが早道です

みなさんが使っているほとんどのカメラには

ホワイトバランスを適切にする機能が当たり前についています

普段はたいていオートにしているので気づく事はありませんが

デジタル(静止画)カメラを使うにしても、ビデオ(動画)カメラを使うにしても

この知識を知っておくのと知らないのとではその後の映像表現・・

しいては作品の質にまで影響します

悩みまくった僕だからこそ、この色温度とホワイトバランスについて

まったく知らない方向けにゼロから分かりやすく説明していきます

 




 

世の中に存在する光源は意外といっぱいある

僕たちが生活している中で、肉眼を通して入ってくる情報というのは

「光源」つまり明るさがあってこそ、認識されます

その光源にはそれぞれさまざまな色成分があり

人間はどんな光源下でも意識せずに自然な色合いで見れていますが

カメラは電気的に風景を映像化しているので、

その場の光源によって適切な色合いに調整する事が必須となります

みなさんにも経験があると思うんですが、

部屋の中で人物とテレビを一緒に撮影した際、

こんな画像になってしまった経験ありませんか?

部屋とテレビ画面の色温度が違った画像

手前の人物は人間の見た目どおりの色合いなのに、なぜかテレビ画面だけが真っ青に・・

実際にはテレビはこんな青く見えていないのに、どうしてテレビだけ青く写ったのか??

これは、これから説明する「色温度」の違いで生じるカメラ特有の現象のせいなんです

 

色温度ってなに?

色+温度というこの独特の言葉に惑わされる方もいると思いますが

別に熱かったり冷たかったりするワケではありません

普段の生活の中に存在する様々な光源の色を

単純に数字で表現した、その呼び名が色温度なんです

色温度の数値は「K」=ケルビンというう呼び名で表記されます

世の中にはさまざまな光源があり、それぞれ色味が違うんです

これを色温度として表にしたのがこちらになります

色温度表

 

赤い成分を多く含んだ光源は左方向=低い数値で、

青い成分を多く含んだ光源は右方向=高い数値で

表記されているのがお分かりでしょうか?

ロウソクのあかりや朝焼け~夕焼けって、人間の見た目でもオレンジ色に見えますよね

対して、蛍光灯や太陽光はロウソクなどのあかりに比べて青成分を多く含んだ光を

含んでいるのでロウソクなどより右方向、つまり青く高い数値になります

赤い光源から青い光源まで、生活の中にはいろんな明かりがあるわけですが

これらの光源に対し、人間の目はどんな光源でも白いものは常に白く見えるよう

脳が調節してくれています

このおかげで光源によって青く見えたり赤く見えたりする事なく、

どんなものでも自然に見る事ができているのですが

カメラは特定の光源に対してしか調整できないのです

さきほど述べた青く写ったテレビの話にもどりますが、

部屋の光源の多くは蛍光灯を使っています

蛍光灯は4000Kのものが一般的ですが、

それに比べてテレビはもっと青い成分(7000K)で発光しています

テレビが青くなったのは蛍光灯の光をカメラが「白」として認識したからで

この色味成分の違いによってテレビが青く写ってしまったのです

人間はどちらも同じ色味として見ていますが、

カメラはそれぞれの光源によって適正な色バランス、

つまり白いものは白として認識させる必要があり、

そうしないと人間が見た感覚と同じようには写らないようになっているのです

これがホワイトバランス(WB)調整、というものになります

このケースではカメラが蛍光灯に合わせた色バランスで調整されたため

それより青い光を出しているテレビが青く写った、という事になります

 

カメラが誤判断することもある

みなさんがふだん使っているカメラのほとんどはホワイトバランスがAUTO設定で

作動しているので気にする必要はありませんが、

このAUTOも完全ではなく、場合によっては誤判断する事があります

 

こちらがその誤判断した例

誤判断した桜の映像 ↓

ホワイトバランスが誤作動した絵

夜の桜が見た目より赤く写ってしまっています

カメラは画像全体の色味成分を分析し、

それを元にしてヒトの見た目と同じように調整するのですが、

この画像にはカメラが判断するだけの色味成分がなかったため

まれにこういう誤判断をしてしまう事があるんです

正常なWBでの映像 ↓

 

 

誤判断を解決する⇒応用もできる

これを解決するには2通りの方法があります

 

①手動でホワイトバランスを設定する方法

主となる光源の下で白いのもを写し調整するやり方で、

テレビ業界ではこれがスタンダードな方法になります

適正とする基準の「白」を写し「オートホワイト」という

ボタン(メニュー)を押す事でカメラが基準になる白を判断してくれます

見た目では1のように色味が正常に見えているのに、

2や3のように赤系もしくは青系になって写ってしまった場合は

手動でホワイトバランスをとる事で正常な1のようにする事ができます

 

②色温度の数値を任意に指定する

上記の色温度表を目安に、カメラにあるマニュアルの数値を

その場の光源に合わせて指定し色合いを調整する方法です

例えば裸電球の光源下で赤く写ってしまったら

ホワイトバランス設定を手動にして3000Kくらいにしてやれば

見た目通りの色味にする事ができるというワケです

この操作を応用すると画像の色合いを赤くしたり青くしたりする事もできるようになります

⇑こちらが正常値(5800K)で撮影されたもの

これを色温度数値指定で4000Kにしたものが⇓

実際の光源が5800Kであったのに対し、

故意にホワイトバランス設定を下げたので青く写ってます

 

反対に数値を上げて9800Kにするとこのように赤くなります

つまり、正常の色温度値より低い数字を指定すると青くなり

高い数値を指定すれば赤くなるのです

 

もう一度色温度表をもとにおさらいします

左にいけば赤い色味

右にいけば青い色味になります

昼間の色温度はおよそ5600K前後

それに対し、手動で4000Kに設定にすると

そこから見て5800Kは青方向になるため青くなります

適正の5600Kより高い数値にすると、

そこから見て適正の値は低くなる(赤方向)ので赤い色味になるってワケです

え? ん?? って考え込んでしまったら、これだけおぼえてください

適正値より低い数値にしたら青くなる

適正値より高い数値にしたら赤くなる  です

数値を手動で変える仕組みを知っていれば、

レタッチソフトなどでいちいち調整しなくても

その場でカンタンに調整できてしまいます

文章にすると難しく感じるかもしれませんが、

実際にホワイトバランスメニューを手動(マニュアル)にして

数値を動かしてみれば体感で理解できますのでやってみて下さい

ちょっとの操作で気軽に色合いに変化をつけられるようになったら

映像表現にも幅ができて、より楽しく撮影できるようになります

みんなと同じ映像って時には印象に残らず没個性な作品になったりします

そんな時、自分オリジナルのスパイスを加えたいな~、

なんて思ったら手軽にエフェクトできるアイテムになります!

 



 

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